『より良く』#25東俊輔

「あずまは二部じゃできないもん」

 

1年生の春休みに大久保さんから言われた言葉, 今でも鮮明に覚えている。牛丸くんと3人で話しているときに言われた。面と向かって言われたことに驚いたけれども, 言われた内容に苛立つこともない。理由はひとつ, 自分でもそう感じていたから。

 

 

小学生時代は右目が見えないことが理由でサッカーができず, 中学から始めたサッカー。3年間楽しい思い出もありながら, 最後の試合はベンチ外。高校でもサッカー部に入ったもののレベルの高さや人間関係を理由に1年で辞める。そんな人間が大学でサッカー部に入ったところで試合に出れるはずがない。実際4年間全く試合に絡むことなく終わった。出られるどころか周りのレベルについていけることもできず,いろんな言葉を浴びせられる。

 

「動くコーンじゃん」

「東にパス出すなよ

練習にならない

「(マネージャーのほうが)東よりうまい」

 

挙げたらきりがない。言われるたびに凹んだし, 辞めたいと思ったことは何回もある。4年間先輩・同期・後輩から怒られまくった。4年間練習・紅白戦・練習試合でミスしまくった。4年間でリーグ戦に出場した数は都留文戦の1試合のみ。最後の試合もベンチには入れず応援していた。誰がどう見ても不甲斐ない結果だと思う。いつしかサッカーを楽しめなくなっていたし, 引退するときは二度とサッカーはしたくないと思ったくらい。だけどこんなにも不甲斐ないと感じながらもこの4年間には全く後悔していない。理由ただ一つ。

 

 

 

毎日『より良く』なるためにできることをやって, それを4年間やりきったから

 

 

 

先述のとおりやめたいと思うことは何回もあったが, たまに言われるこの言葉に救われた。

 

「東上手くなったな」

 

自分にとって最高の一言。この言葉を追い求めて毎回練習していたし, 毎日上手くなりたいと思ってプレーしていたし,誰よりも上手くなりたいと思って練習していた。たとえ試合に全く絡めなくても, 紅白戦のメンバーにも選ばれずグラウンドの端で練習することになっても, どんな環境でも上手くなれると信じて練習していた。だから入部してから引退するまで毎日上手くなったと思えるし, 誰よりも成長したとえる試合に絡めなかった理由は, 大学4年間あるとわない。きっとそれまでの人生に原因があると思える。自分と向き合う時間が増え, 精神的にも成長できた。結果は不甲斐なかったけれど, 不甲斐ない4年間を後悔することはない。むしろこれだけ上手くなれたことだけで1試合だけ出場できただけで満足している

 

振り返ってみると苦しい思い出のほうが圧倒的に多かったが, 4年間で学べることもあった。努力が報われる保障はないけれど, 何か報われると信じてこれからの人生を生きていきたい。

 

後輩の皆さんへこれからシーズンが始まり, 新入生が入部してきて自分のチーム内での立ち位置どのくらいなのか分かっくると思います自分の立ち位置を直視するのは, とてもきついことだと思います。サッカーが楽しくないと感じる瞬間もあると思います。でもどんな状況になっても上手くなろうと思えば, いくらでも上手くなれます。自分の立ち位置に満足していない人は, 昨日の自分よりもより良くなるために今どうすべきか考えて行動してみてください。自ずと今やるべきことが見えてくると思います。上手くなればまたサッカーが楽しくなっていきます。サッカーが上手くなるためにサッカーを楽しみ, サッカーを楽しむために上手くなってください。

 

そしてもう1つ, これは試合に絡めない人に向けて, 試合に絡む以外の目標を持ってみてください。サッカー部に所属している以上, 試合に出ることを目標にしていると思います。でも今現在試合に出られなくて楽しめない人は少なからずいると思います。そんな人はぜひ違う目標をもってみて欲しいです。どんな小さな目標でも構いません。1日の目標なら,紅白戦でゴールを決めるでもいいし, ポストプレー1回完璧につなげるでもいいし, 縦パス1回つけるでもいいです。試合に出ることが遠い目標にあるならば, 近くてクリアしやすい目標を立ててみてほしいです。

 

最後に, すこしだけ感謝を伝えさせてください。

 

サッカーを1から教えて頂いた大久保さん, 石橋さん, 礼加さん

1年生のころサッカーに対する姿勢を見せて頂いた大吾さん, 時折プレーを賞賛して頂いた牛丸君をはじめとする先輩方

役に立たない自分とサッカーをしてくれた後輩達

そして4年間一緒にいてくれた同期

サッカーという側面は全くと言っていいほど充実しなかったけれども, 4年間サッカーを上手くなり, 4年間満足できたのは皆さんのおかげです。すべての皆さんに感謝します。本当にありがとうございました。





東 俊輔