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『すばらしい日々』 #6 伏原穂高

偉大な先輩方の「I will...」には到底及ばないと思いますが、自分の気持ちを少しでも伝えられたらなと思います。

 

 

 大学での4年間を振り返ると、これまでのサッカー人生の中で一番しんどかったと思います。今思い出しても、苦しい記憶ばかりが蘇ります。

 同期の途中退部、肩の脱臼、そして自分のプレースキルの欠如というようなものを逃げ道にして早く自分も辞めてしまいたいと思っていた時期が長くありました。

 

 こんなネガティブな気持ちを軽くしてくれたのは、サッカーをすることへのやりがいと部員たちとの何気ない日々でした。ゴールを決めた時の快感やチームで勝利を掴んだ時の一体感とその雰囲気が大好きで、それを大切な仲間たちと味わうために本気でサッカーに取り組み、続けて来られたのだと思います。

 

 

 

 それでも、自分自身が本気でサッカーをすることに対する情熱が少なくなっていくことを感じていました。自分が一人のサッカープレイヤーとしてまだまだ成長したいという気持ちや、試合に出られないといったことへの悔しさが無く、卑屈な気持ちになってしまっていました。

 情熱が無くなってしまっては本気でサッカーをする資格は無いですし、そのような状態でサッカーをすることに対する違和感が生まれていました。

 

 もともと、サッカーを始めたきっかけは「サッカー選手になりたい」だったので、本当はその夢が叶わないと分かり始めた中学卒業あるいは高校卒業でサッカーを辞めなければいけなかったのかもしれません。

 

 

 ただ、惰性でサッカーを続けてしまっていた自分にも都立大サッカー部は居場所を与えてくれました。

チーム理念である「想いを大切に、感動を和かちあおう」のもとでサッカーに向き合うこと、これによってサッカー部における自分の情熱や存在意義が見出せたのではないかと思います。

 

2021年のリーグ最終戦となった、11月13日の成城戦はチーム理念を体現できた試合だったと思います。試合に勝ってチームメイト、マネージャー、スタッフ、OB・OG、保護者みんなで喜んで感動を和かち合うことができました。あの試合は二度と忘れることができません。

 

後輩たちには自分がサッカーをする意味を失ってしまった時や、試合に出られず存在意義が見出せなくなってしまった時はチーム理念を拠り所にしてほしいです。試合に出て結果を残すことだけが理念を達成する手段ではありません。チームを盛り上げ少しでも雰囲気を良くすること、一生懸命に練習に取り組むことなど、理念に向かって情熱をぶつけることができればそれは立派なチームへの貢献になると思います。

 

 

今、この文章を書いている2022年2月はロシアがウクライナに侵攻しています。国際情勢が悪化し、世界ではボールを蹴ることができない人も多い中で、4年間何不自由なくサッカーをすることができたことはすばらしい日々だったと思います。仲間との何気ない日常のやり取りができたことや、充実したサッカー環境を与えてもらっていたことは本当に幸せ者でした。

 

最後に、両親は自分がサッカーを始めた時から約20年間、一生懸命サッカーに集中する環境を整えてくれました。まだ夜が明けていない時間から公園で朝練を一緒にしてくれたり、ランニングをしたり、練習や試合への送り迎えや反省会も多くしてもらいました。優秀なサッカー選手にはなれなかったですが、すばらしい思い出になりました。

 

 

本当にありがとうございました。