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アイシングって結局なんなのか

4年の草野です。

 

いきなりですが、怪我をした際の応急処置の基本、みなさんは知っていますか?

 

RICE処置です。首都大学東京体育会サッカー部のみなさんはもちろん知っていると思います。安静、冷却、圧迫、拳上ですね。

基本として扱われている処置なので、当たり前のようにやっているRICE処置ですが、それぞれの意義や役割をしっかり理解した上でこなしている人は少ないのではないかと思います。

私も、自分やチームメイトがけがをした際、アイシングすべきかどうか相談したりされたりするのですが、「とりあえず冷やす」という判断に疑問があったため、今回調査してみることにしました。

 

そんなわけで、、

 

今回はRICE処置の内、アイシングについて科学していきたいと思います!

 

アイシングという処置、基本的には推奨されているのですが、たまにしないほうが良いと主張するサイトもあったりと、調べれば調べるほどどれを信用すればよいのかがわからなくなってしまう意外とややこしいのです。

 

アイシングに期待できる良い効果としては、痛みの緩和、筋緊張の抑制、代謝や血流量、炎症の低下などがあげられます。

反対に、アイシングがサテライトセルと呼ばれる筋肉修繕で中心的な役割をこなす細胞の増殖を遅延させてしまうというデメリットも存在するようです。良いのか悪いのかわからないですね。では、総合的にはアイシングのメリットとデメリット、どちらのほうが大きいのでしょうか。肯定しているサイトと否定しているサイトしかないのでGoogle検索はもう役に立ちません。

じゃあソースを調べるしかないということで、ある論文を拾ってきたのでみなさんに簡単に紹介したいと思います。

 

論文名は、

 

アイシング処置がラット損傷筋の回復過程に及ぼす影響 (池崎、芝口、杉浦、宮田 2017)

 

というもので、実験動物として用いるラットの筋肉を損傷させ、アイシング処置を施したものとなにもしなかったもので損傷の回復具合を比較して評価するという内容です。ちょっとかわいそうですね。

 

気になる実験結果ですが、受傷後アイシングを受けたラットは、受傷後アイシングを受けなかったラットに比べて、一週間後の筋量が少なくなっていたというものでした。これは、アイシングによって筋肉の再生に遅延が起こったということを意味しています。ただし、確かにアイシングは筋再生に関係する因子の数を減らしてしまいますが、組織レベルでの筋再生への影響はほぼ無いとみて問題ないようです。

一方、痛みを軽減するという作用のほうはアイシングの効果がしっかりと現れました。受傷直後のアイシングをほどこしたラットは、放置されたラットに比べて受傷3日後に残った痛み成分が少なくなっていることが確認されたのです。

 

メリットとデメリットがはっきりとあるため、以上の事実をどのようにとらえるかは結局個人次第となってしまいますが、早期復帰を目指すスポーツマンであれば、やはり痛み軽減が大変重要となってくると思うので、私としてはやはりアイシングは受傷直後に行うべきであると結論づけたいと思います。

 

調べたのに結局やることは変わらないということになってしまいましたが、昔は運動中に水を飲んではいけないという時代もあったそうですから、常識となっていることを疑ってなぜそのような常識があるのか調査することはとても有意義なことだと思うので、みなさんも是非やってみてください!

ただ、常識となっていることはそれなりに意味があるはずなので、それを否定しているサイト等を鵜呑みにすることは大変危険なことだと思うので、そこは注意していきましょう!

 

参考

アイシング処置がラット損傷筋の回復過程に及ぼす影響(池崎 2017)